羽根田潔前院長コメント

平成23年4月23日

このたびの大震災は、まさに悪夢のような出来事でした。
平和だった世の中が一瞬にして地獄のようになってしまいました。この地域の人々は皆一様に被災者ですが、中でもあの大津波で命を失い、愛する家族を失い、そして住む家を失った方々に対して、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

今から8年前に宮城県北部地震がありました。震度は今回と同じ6強でしたが、直下型地震で揺れ方が違ったため、地震だけの被害は今回よりも大きかったように思います。そのときに医療従事者として、いくつかの特徴的な事例を経験しました。
地震直後に来院する患者さん方には、血圧や血糖値の上昇、そして相次ぐ余震によるストレスからの胃や腸からの出血が見られました。慢性期になると、生活環境の変化からこれまで日課としてきたことができなくなったことによる精神的な落ち込み、飲酒量の増加、不眠などの症状が問題でした。

今回の大震災は、大津波によりその何十倍も大きな災害となりましたので、いっそうひどい状況が想定されます。高齢者のみならず、将来を担う子供たちが健全な心身を保てるように、官民一体となって取り組む必要があるでしょう。
また、どのようにしたら被害を最小限に防げるか、生き延びるためにはどのように対処すべきかなどをきちんと検証し、この未曾有の大惨事の経験を後世への教訓として残していくことが、私たちに残された仕事だと思います。

がんばろう日本、がんばろう宮城。皆さん、復興のために力を合わせて立ち上がりましょう。

補足資料：

宮城県北部地震 災害復興支援シンポジウム　平成16年7月20日開催（PDF）