健康ガイド

健康コラム

タバコと健康

喫煙は全世界における死亡原因の第2位です。世界中で毎年500万人、日本では男性9万人、女性2万5千人の方が喫煙により亡くなっています。タバコが身体に及ぼす害は、非常に大きくて恐ろしいものなのです。

タバコの毒性と引き起こされる病気

ニコチン
ニコチンはニコチン中毒の原因となる成分です。ニコチンが体内に取り込まれることで血管が収縮し、心筋梗塞や脳卒中、バージャー病(※)などの発症率を高めます。
※閉塞性血栓性血管炎。手足の動脈が閉塞し、悪化すると切断を要する。
タール
タールは発がん性物質のかたまりです。1日20本の喫煙を1年間続けると、肺にはコップ1杯分のタールが蓄積します。しかも、1度肺に入ったタールは取り除くことができません。肺がんをはじめ、喉頭がん、口腔がん、食道がん、膀胱がん、すい臓がん、胃がんなど、がん全体の60%はタバコを原因として発症します。
一酸化炭素(CO)
喫煙による息切れや動悸、仕事効率の低下、ボケなどは一酸化炭素が原因です。全身を酸欠状態にし、体力を著しく低下させます。

この他にも、タバコを吸うことによって肺胞の壁が壊れて肺気腫を引き起こし、同時に慢性気管支炎を発症させることがあります。これらを慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼び、症状が悪化すると、酸素吸引なしでは生命の存続が不可能になってしまいます。

タバコは周りの人にも悪影響

タバコから出る煙を吸い込んでしまうことを、受動喫煙といいます。受動喫煙は、喫煙よりも害が強く、非喫煙者の20人に1人は受動喫煙で亡くなっています。例えば、どちらかがタバコを吸っている夫婦と、そうでない夫婦の場合、後者の心筋梗塞発症率が1%なのに対し、前者の非喫煙者の発症率は12%にも及びます。また、子供が受動喫煙をした場合には、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症リスクが高まります。

タバコ自体に「ストレス解消」の効果はない

「ストレス解消」や「リラックス」の効果があるからタバコを吸う、という喫煙者はとても多いです。しかし実際のところ、タバコ自体にそのような効果はありません。タバコを吸うことで、ストレス解消やリラックスの効果がもたらされたと感じる原因は、ニコチン中毒にあります。ニコチン中毒とは薬物中毒の一種で、脳がニコチンなしではいられなくなった状態です。ニコチン中毒者は、タバコを吸うことでニコチン不足が一時的に緩和されることから、ストレス解消やリラックス効果を錯覚してしまうのです。

禁煙は始めた直後から効果がある

喫煙は百害あって一利なしです。さまざまな病気の原因となるだけではなく、周囲へも被害を広げてしまいます。
しかし、禁煙を行えば効果はすぐに現れ、喫煙による病気や死亡のリスクを必ず減少させることができます。
禁煙5年で、病気の発症や喫煙による死亡のリスクが3割減、10年目で非喫煙者と同等の状態となります。
タバコは、1本吸うだけで血管を縮めてしまうため、心筋梗塞などの発症率を高めます。現在喫煙をしている方は、少しでも早く禁煙を行い、生活を改善していきましょう。

当院の禁煙外来について

当院では、毎週水・木曜日の8:30~11:30に禁煙外来を開設しています。
禁煙したい方、禁煙に興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
お電話または1階受付にて随時受け付けております。

記事初出:広報誌「コンチェルト」106号
平成20年1月開催 第65回いきいき健康講座要旨(講師 石巻赤十字病院呼吸器科部長 矢内勝先生)