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健康コラム

健康診断では分からない「隠れ貧血」について知りましょう

貧血と言えば血液中のヘモグロビン濃度が低くなっている「鉄欠乏性貧血」を指しますが、最近ではヘモグロビン値だけでは分からない「隠れ貧血」が増えています。

一般的な貧血と隠れ貧血の違い

貧血はヘモグロビン値で診断するのが一般的です。例えば、男性なら血中ヘモグロビン値が13 g/dl、女性は12 g/dl、高齢者は11 g/dl未満であると貧血と診断されます。
しかし、実際にはヘモグロビン値が11g/dl以上13g/dl未満であっても貧血症状を訴える人が少なくありません。ヘモグロビン値が正常であるにも関わらず貧血の症状が表れる……これが「隠れ貧血」です。

隠れ貧血とは

隠れ貧血とは「潜在性鉄欠乏症」ともいわれます。隠れ貧血の原因は、体内の「貯蔵鉄」の不足です。
人間の体内にある鉄分のうち、およそ2/3はヘモグロビンに存在します。そして残りの鉄分は血液中に含まれる「フェリチン」に含まれ、いざというときのために鉄分を貯蔵しているのです。 ヘモグロビン値が正常でも、フェリチン値が減少すると鉄分不足になり隠れ貧血を起こします。

なお、一般的な血液検査でフェリチン値を測定することはありません。そのため、隠れ貧血の発見が遅れてしまうこともしばしばあります。日本では20代~40代の女性の40%は潜在性鉄欠乏症であるといわれ、患者の数は1,000万人以上に上ると推測されています。

・隠れ貧血の主な症状

頭痛、めまい、倦怠感

疲れやすい、爪が割れやすい(二枚爪)

髪の毛や肌のツヤが悪い、風邪を引きやすくなった

「歳のせいで疲れやすくなった」と感じるとき、その原因は隠れ貧血にあるかもしれません。

隠れ貧血の予防・治療方法

隠れ貧血の予防と治療には鉄分摂取が肝心です。治療では鉄剤を処方されることもありますが、貧血を完全に治すには半年程度かかるといわれています。特にフェリチン値はなかなか改善しづらいので、医師の指示に従って根気よく治療を続けましょう。中途半端な治療は貧血の再発を招きます。
なお、女性は生理によって鉄分不足に陥ることもありますから、医師と相談しながら鉄剤の量を調節してください。

まとめ

隠れ貧血は一般の健康診断では発見できず、気付きにくい病気です。気になる症状があれば、血液検査でフェリチン値を測ってもらうよう医師に相談してみましょう。