骨折は特に高齢者に起きやすく、介護が必要になるきっかけとなることも。骨折が連鎖する「ドミノ骨折」を防ぎ、健康的な生活を送るためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
「骨折・転倒」は日本の介護要因の第4位であり(※)、高齢になるほど骨折リスクが高くなることはよく知られています。さらに、一度骨折すると他の部位も骨折しやすくなることが実験の結果から分かっており、骨折の連鎖が起きる状態を、ドミノ倒しに例えて「ドミノ骨折」と呼びます。
特に骨粗しょう症などで骨がもろくなっていると、痛みを感じずに骨が折れているケースもあります。痛みがないと発見が遅れ、ドミノ骨折を引き起こしやすくなるためやっかいです。早く骨折に気付くためにはどうすればよいのでしょうか。
※厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査-介護が必要となった主な原因」第16表
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001184844&requestSender=estat
骨折を早期発見するには、骨折の疑いがなくても骨密度測定を行うとよいでしょう。女性は閉経後、急激に骨量が減少します。女性は目安として50歳を過ぎたら1年に1回測定するとよいでしょう。男性は健康な方でも70歳を過ぎたら2年に1度測定することをおすすめします。骨密度検査は、近くの保健センターや保健所、病院などで受けることができます。
また、身長や姿勢の変化も骨折に気付くきっかけになります。「以前より身長が縮んだ」「背中や腰が曲がっている」といった場合は骨折の可能性が考えられるため、病院を受診するとよいでしょう。
ドミノ骨折を防ぐためには、運動や食事療法のほか、骨折・転倒を引き起こしにくい住環境を整備することが効果的です。
運動や食事で骨折しにくい身体をつくる
・ウォーキングや階段の昇り降りをする
・カルシウムやビタミンDが豊富な食材を摂取する
・日光浴をする(ビタミンDが体内に生成されるため)
骨折・転倒しにくい環境を整える
・階段や浴室に手すりを設置する
・床の上に置いてあるものを片付ける
・滑りやすいスリッパや靴下をはかない
高齢者は、一度骨折するとドミノ骨折を引き起こすリスクが高くなることが分かりました。「発見が難しい」という側面もありますが、まずは日々の食事や運動など取り組みやすいところから予防を始めてみてはいかがでしょうか。