
食欲の秋、美味しいものをたくさん食べたくなる季節です。ただし、「食べた後に胃もたれや胸焼けがある」「ゲップやおならが何度も出る」などの不調が続く場合、「呑気症(どんきしょう)」の疑いがあります。腹部の不快感を伴うこの呑気症について、主な原因や具体的な症状、改善のための対策を紹介します。
呑気症は無意識に大量の空気を呑み込み、胃や腸などに空気がたまることが原因で引き起こされます。空気をたくさん呑み込むことで引き起こされることから、「空気嚥下症」とも呼ばれます。人が食事をする際には通常一定量の空気を呑み込みますが、日常生活の中で必要以上の空気を呑み込むことが多いと呑気症にかかりやすくなります。
呑気症に至る原因は現状はっきりと分かっていませんが、ストレスによる緊張と関連があると考えられています。ストレスや不安を感じたときには唾を呑み込む回数が増えますが、こうした状態が続くと体内に空気がたまりやすくなります。また、緊張して歯を噛みしめると、舌が上あごに張り付いた状態で唾液を呑み込むことが多くなります。このような噛みしめを繰り返すと体内に空気がたまり、呑気症を引き起こす要因となります。
呑気症にかかると、主に以下のような症状が現れます。
呑み込んだ空気が食道を通り、胃の中にたまることで、胃もたれや胸焼けなどの不快感が慢性的に生じます。空気がたまることで腹部が膨らむ感覚とともに痛みが出ることもあります。
呑気症になると、ゲップやおならが出やすくなります。空気を胃の中にため込んだあとに、空気が逆流して口から出て行く場合にはゲップが、空気が大腸にたまった場合はおならとなって出ていきます。消化器系に疾病が見当たらないのにゲップやおならが多く出る場合、呑気症の疑いがあります。呑気症によりゲップが繰り返し出ると胃酸が逆流し、逆流性食道炎の原因になることもあります。
このほかにも、噛みしめが原因の頭痛や大腸の不調、便秘などの症状を併発することがあります。
呑気症の予防と、すでに発症した後の改善には、以下の3つの方法が有効です。
日頃から、ストレスを感じたときや緊張したときに歯を噛みしめていないか意識してみましょう。噛みしめの癖が強い人は、薄いマウスピースを装着して、噛みしめを防止する方法もあります。
ストレス解消のため、意識して休息や睡眠を取るようにしましょう。緊張しやすい人は、自由時間には趣味の時間を確保したり、リラックスのため軽い運動やストレッチで体をほぐしたりするといったストレス発散の方法を取り入れると効果的です。
かき込むように急いで食事をすると、食べた物と一緒に多くの空気を呑み込んでしまいます。また、お味噌汁やスープについては、音を立てて飲み込むことで空気が体内に入りやすくなります。食事をするときはゆっくりとよく噛んで食べ、汁類は音を立てず静かに飲み込むよう意識しましょう。炭酸飲料も飲みすぎると体内に二酸化炭素ガスがたまる原因となります。ソーダ水やビールなどを飲む量は控えめにしてみてください。
胃もたれやゲップなどの症状が現れる呑気症は、ストレスにより無意識に空気を多く呑み込むことで発症すると考えられています。生活面の見直しによって症状の改善が見込めますが、症状が長期化したり、ほかの病気を併発したりすることもあります。日常生活を送る中で胃の不快感やゲップの多さが気になる場合は、病院に行き、医師の指導を受けましょう。