
「冬になると、体が疲れやすくなる」「暖房をつけて体を冷やさないようにしているのに、体調が悪い日が続く」という場合、「寒暖差疲労」の疑いがあります。特に、外出自粛や在宅勤務によって暖房のついた部屋にいる時間が長くなりやすいコロナ禍の冬には例年より寒暖差疲労のリスクが高まります。寒暖差疲労の原因や症状、日頃からできる予防方法について詳しく解説します。
寒暖差疲労の原因には自律神経の乱れが関係しています。自律神経には体温を自動調節する機能があります。夏の暑い時期は自律神経が働くことで血管を広げて体内の熱を逃がし、冬の寒い時期は血管とともに筋肉を収縮させることで体温を上げる働きをします。
昼間は暖房の効いた部屋にいて、外出時にだけ急に気温の低い場所に出ると体が感じる気温差が大きくなって自律神経が過剰に働き、機能に乱れが生じます。室内外の温度差や、その日のうちの気温の変化が7℃以上ある場合に、自律神経が乱れやすくなると考えられています。
冬場の毎日の通勤や、買い物などの外出で、暖かい室内と気温の低い屋外を何度も往復したりすると自律神経に負担がかかり、寒暖差疲労になりやすくなります。また、最近では新型コロナウイルスの影響による外出自粛のストレスや運動不足により自律神経が乱れるケースが増えており、寒暖差疲労のリスクが例年より高まっています。
寒暖差疲労は、主に以下のような症状となって現れます。
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季節の変わり目に体調を崩しやすく、上記の不調が複数現れる、という場合は、寒暖差疲労の可能性があります。特に女性はホルモンバランスが崩れやすく、冬場に寒暖差疲労になりやすいため、自分の体の不調との一致がないかチェックしてみることをお勧めします。
寒暖差疲労は、日頃から疲労をためない対策を取ることで予防できます。
ウォーキングをはじめとする軽い運動を日常生活の中に取り入れたり、1日に何回か軽いストレッチを行ったりすると血行が良くなり、自律神経を整える効果があります。ストレッチは、1時間に1回程度、背伸びをしたり、首や肩を回したりするだけでも効果的なので、まとまった運動時間を確保するのが難しい場合は軽いストレッチを1日に数回行いましょう。
体が温まる食べ物を食べることで、寒暖差による冷えを防止します。以下の食べ物や飲み物を毎日の食事に取り入れてみてください。
野菜・果物 | かぼちゃ、人参、ごぼう、たまねぎ、りんご など |
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飲み物 | 紅茶、ほうじ茶、ココア |
薬味 | 生姜、にんにく |
入浴をすることで血流がよくなり、冷え防止と疲労回復に役立ちます。また、37~39℃のぬるいお湯にゆっくりとつかることで、副交感神経が刺激されます。刺激によって副交感神経が優位になると体がリラックスし、心身の疲労の解消にも効果的です。
毎日入浴することは寒暖差疲労防止に役立ちますが、熱い湯船につかる場合はいくつか注意が必要です。寒い脱衣所から急に熱い湯船に入ると、血圧が一気に上がり、心臓に負担をかける「ヒートショック」を引き起こしやすくなります。冬に熱い湯船に入る場合は、お風呂の蓋を開けておく、服を脱ぐ前に脱衣所を温めておくなど、湯船と体の温度差を減らすよう心がけましょう。
寒暖差疲労とは、暖房の効いた部屋と気温の低い屋外での寒暖差によって体温を調節する自律神経が乱れることで生じる不調です。ストレスをためたり運動量が減ったりすることの多いコロナ禍の冬においては、自律神経が乱れやすく寒暖差疲労のリスクが高まります。運動や食事、毎日の入浴などの日頃からできるケアを取り入れ、体を温め、疲れをためない生活をこころがけましょう。