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健康コラム

梅雨から初夏の時期には特に注意! 細菌性食中毒について

害のある物質や、微生物に汚染された飲み物や食べ物を摂取することで起こる中毒のことを食中毒と言い、その中でも細菌によって引き起こされる食中毒が「細菌性食中毒」です。食中毒には細菌性食中毒の他にも「ウイルス性食中毒」、「化学物質による食中毒」、「自然毒による食中毒」、などがありますが、このうち、細菌性食中毒は発生する食中毒全体の約70~90%を占めています。特に、梅雨から初夏の時期は湿度や気温が高く細菌が増える時期です。細菌性食中毒も発生しやすいため、食品の管理にはいっそうの注意が必要です。

今回は、細菌性食中毒の原因となる細菌の種類、食中毒の予防法について解説します。

■細菌性食中毒の原因となる細菌

細菌性食中毒は、「感染型」「食品内毒素型」「生体内毒素型」に大きく分類されます。

  • 感染型
    食品の中で増殖した細菌を食品と一緒に摂取することで、細菌が体内で増えて食中毒を引き起こします。代表的なものが、サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどです。
  • 食品内毒素型
    食品の中で細菌が増殖する際に毒素が作られ、その毒素を食品と一緒に摂取することで食中毒を引き起こします。 代表的なものが、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)などです。
  • 生体内毒素型
    摂取した細菌が体内で増殖し、毒素を作り出した結果として食中毒を引き起こします。代表的なものが、腸内出血性大腸菌(「0157」とも呼ばれる)、セレウス菌(下痢型)、ウェルシュ菌などです。

これら、それぞれの細菌性食中毒の発生の特徴を理解することで、食中毒の予防や対処がしやすくなります。

■細菌性食中毒の症状

食中毒によって引き起こされる症状は、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などです。このうち、下痢や嘔吐は細菌が体内に入り腸の中で増殖したり毒素が入ったりすることで、胃腸機能が低下した結果引き起こされます。下痢や嘔吐は、繰り返すことで、体内の細菌や毒素を体外に排出する働きをします。高齢者や子供が食中毒担った際は、脱水症状を引き起こさない対処が大切ですが、自己判断で下痢止めや吐き気度目の服用をすると、症状が長引いたり、重症化したりすることもあります。

このほか、ボツリヌス菌による食中毒の場合、嘔吐だけでなく、視力障害や発声困難、呼吸困難などの神経症状などが引き起こされる場合があります。

■食中毒予防のための6つのポイント

厚生労働省は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」、という食中毒予防の三原則」にもとづく、家庭でできる食中毒予防の6つのポイントを公開しています。6つのポイントの要点を確認しておきましょう。

ポイント1
食品の購入
  • 生鮮食品は新鮮なものを買って、早く持ち帰る
  • 購入の際は消費期限などを確認する
  • 水分がもれないよう肉や魚などはビニール袋などに分けて持ち帰る
ポイント2
家庭での保存
  • 持ち帰った肉、魚、野菜などは別々に、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れ、早めに食べる
  • 冷蔵庫・冷凍庫に入れるときは食品の詰め過ぎに注意する
  • 冷蔵庫は10C以下、冷凍庫は、-15C以下に維持する
  • 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、肉、魚、卵を取り扱う時は手指を洗う
  • 食品は床に置かず保存し、流し台の下に保存する場合は水漏れに注意する
ポイント3
下準備
  • 調理や食事の前に石鹸で手をよく洗う、手を拭くタオルは交換して清潔に保つ
  • 調理器具は清潔にし、なるべく熱湯消毒する、使い終わった後もすぐ洗剤で洗う
  • 肉、魚、野菜などは別々に洗う
  • 凍結していた食品を調理台に放置して解凍すると食中毒菌が増えるので電子レンジで解凍する
  • 冷凍や回答を繰り返すと菌が増えやすいので、解凍したらすぐ調理する
ポイント4
調理
  • 調理する前に台所が汚れていないか再度確認する
  • 十分に加熱する、目安は中心部の温度が75℃以上、1分間以上
  • 途中で料理を止める場合は室温放置せず冷蔵庫・冷凍庫に入れる
ポイント5
食事
  • 調理したらすぐに食べ、室温で長く放置しない
  • 手を洗って清潔に保ち、器具・食器も清潔なものを使う
ポイント6
残った食品
  • 残った食品を扱う前に清潔な食器で保存する
  • 残った食品は浅い容器に小分けして保存する
  • 時間が経ち過ぎたら捨てる、口に入れない
  • 残った食品を温め直す時は75C以上を目安に十分に加熱する

■まとめ

細菌性食中毒は、細菌が原因で引き起こされる食中毒で、1年のうちでも梅雨や初夏の時期に多く発生します。発症すると主に嘔吐や下痢、腹痛や発熱などの症状が現れますが、下痢止めや吐き気止めなどの薬を自己判断で服用すると症状が悪化する可能性もあるため、医療機関での指示を仰ぐことが大切です。細菌性食中毒が発生しやすい時期は、「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」を参考にして、日頃からの予防に努めましょう。

〈参考資料〉