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健康コラム

夏場の予防も重要! RSウイルス感染症

従来春の感染症とされてきたRSウイルス感染症は、近年では夏にも流行することが分かっています。乳幼児や高齢者がかかると細気管支炎や肺炎を引き起こすこともあるため、春から夏場にかけての予防が重要です。今回はRSウイルス感染の具体的な症状や予防のポイントを紹介します。

■RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症とは、RSウイルスによる急性呼吸器感染症です。体内に入り込んだウイルスが気道に感染することで発症します。感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は2~8日程度です。

RSウイルスは世界中に分布しているウイルスで、日本では2歳になるまでにほぼ100%の人が感染すると言われています。一度感染したからと言って完全に免疫が作られるわけではなく、生涯何度も発症する感染症ですが、感染の度に現れる症状自体は軽くなります。

■RSウイルス感染症の主な症状

RSウイルスにかかると、潜伏期間を経て発熱や鼻水が出るなどの軽度の症状が数日間続きます。重症化した場合は、咳や呼吸するときにヒューヒュー、ゼーゼーなどの音(喘鳴)がする、呼吸困難になるなどの症状が現れ、細気管支炎や肺炎に発展する場合もあります。

乳幼児や慢性呼吸器疾患、心疾患などの基礎疾患のある子供、高齢者は重症化のリスクが高く、入院が必要な場合があるため、特に注意が必要です。

■RSウイルス感染症の治療法や予防のポイント

RSウイルス感染症のワクチンや特効薬はまだありません。治療には酸素投与といった、呼吸器に現れる症状を和らげるための対症療法を行います。ワクチン接種ができないため、感染と重症化を防ぐためには日頃からの予防が重要です。

RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染です。流行時期、流行以外の時期を問わず、飛沫感染対策として家族や職場など身近な人が咳をしている場合はマスクを着用します。

また、RSウイルスはその構造上、石鹸、消毒用アルコール、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬に触れると感染力を失うことが分かっています。接触感染の対策としては、子供が触れるおもちゃや、日常的に触れるドアノブや手すりはこまめにアルコール消毒を行う、帰宅後は石鹸での手指消毒をするなどが有効です。

■まとめ

風邪によく似た症状が現れるRSウイルス感染症は、従来春の感染症でしたが、近年では夏にも流行します。重症化しやすい乳幼児や高齢者に感染させないよう、日頃からの予防が重要です。流行しやすい時期は特に気を付けてアルコール消毒、石鹸での手洗いなどを行い、咳をしている人がいる場ではマスクを着用しましょう。RSウイルス感染症にかかった場合、多くは軽度で済みますが息苦しさやゼーゼーという音が喉から出ているときは入院が必要な場合があります。そうなった場合、早めに近くの病院を受診しましょう。