
夏の暑い日に、水分補給のためにと水ではなく甘いジュースや清涼飲料水を飲んでいませんか。
これら糖分が多く含まれている飲み物を日常的に飲むことで、喉の渇きをはじめとする体調不良が引き起こされることがあります。これらは俗に「ペットポトル症候群」と呼ばれる症状です。今回は、夏場は特に注意したいペットポトル症候群の症状や適切な水分補給の方法について解説します。
ペットボトル症候群とは医学的には「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれる症状です。清涼飲料水など糖分が含まれた飲料を過度に摂取することで、血液中の糖分や「ケトン体」と呼ばれる成分の値が高くなり、体調不良を引き起こします。
血糖値が上がると人は喉の渇きを感じるため、糖分の入った飲み物をたくさん飲むと、喉がまた乾く、という繰り返しが起きるのです。通常は血糖値が高くなると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、体内の血糖値を下げる働きをします。一方摂取する糖分が多く、高血糖の状態が続くと、この働きが鈍くなり、糖分の代わりに脂肪やタンパク質がエネルギー源に使われます。このとき発生するのが血液を酸性にするケトン体で、ペットボトル症候群を引き起こす作用を持ちます。
現れる症状は喉の乾き、倦怠感、腹痛、吐き気、多尿などで、症状がひどい場合は意識の低下と昏睡常態へ至る場合があります。
何気なく飲んでいる清涼飲料水やジュース、炭酸飲料などのソフトドリンクには思った以上の糖分が含まれていることがあります。日常的に糖分が入ったソフトドリンクを多く飲んでいると、知らず知らずのうちに血糖値が上がり、体調不良が引き起こされたり、糖尿病の要因になったりするので注意が必要です。
一般的な清涼飲料水やソフトドリンクのエネルギー量を砂糖で表示すると以下のようになります。
飲料の種類 | スティックシュガーで換算したエネルギー量 |
---|---|
お茶 | 0本 |
清涼飲料水(ノンカロリー) | 1本 |
野菜ジュース | 3本 |
清涼飲料水(カロリーオフ) | 5本 |
缶コーヒー・小サイズ (砂糖入り) | 6本 |
缶コーヒー・大サイズ (砂糖入り) | 8本 |
コーラ | 14本 |
清涼飲料水などのソフトドリンクは、あくまで甘さや味を楽しむための飲料なので、夏場の水分補給には向いていません。熱中症や脱水の予防のためには糖分が含まれていない水やお茶などで水分補給をしましょう。
ただし、糖分が入っていないとしてもコーヒーや紅茶、緑茶などはカフェインが含まれており、利尿作用があります。水のほか、ノンカフェインである麦茶やルイボスティーであれば脱水の心配がありません。
また、スポーツドリンクや炭酸水には糖分が少ない、あるいは無糖のタイプもあります。運動をして汗を書いた後は、糖分が少ないスポーツドリンクを選んで飲むとよいでしょう。糖分の量は、ペットボトルに記載されている栄養成分表示を見て確認してみてください。
通称「ペットボトル症候群」とは、糖分が含まれた清涼飲料水や炭酸水などを多く摂取することで体内の血糖値が上がり、喉の乾きや倦怠感、腹痛などの体調不良が引き起こされる症状のことを言います。夏場に暑いからと言って水の代わりに清涼飲料水をたくさん飲んでいる人はペットボトル症候群になりやすいため、注意が必要です。水分補給には、糖分やカフェインが含まれていない麦茶や水が向いています。ペットボトル症候群はまれに意識が低下するといった深刻な症状が起きることもあるため、日頃から糖分を控えた水分補給の方法を取り入れましょう。