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健康コラム

冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)とは

「狭心症」というと運動時に起こるイメージが強いかもしれませんが、夜間や早朝など安静にしているときに発生するケースもあります。今回は朝や夜間に起きやすい「冠攣縮性狭心症」の原因や症状、予防法、治療について紹介します。

■朝や夜間に起きやすい

そもそも狭心症とは、何らかの理由で心臓の筋肉に血液を送っている血管(冠動脈)が狭くなり血流不足から一過性の酸素不足になって引き起こされる疾患のことです。狭心症は原因や症状の違いによって複数のタイプに分かれており、そのうち冠攣縮性狭心症は、冠動脈が痙攣して収縮することによって心臓の血流が悪くなる疾患のことを指します。朝方や夜間など安静にしているときに発作が起きる点が大きな特長です。日本人は欧米人と比較して冠攣縮性狭心症の発生頻度が高いと言われています。

■冠攣縮性狭心症の原因と主な症状

冠攣縮性狭心症の原因はさまざまで、一つには加齢によって一酸化窒素の合成や分泌がうまく行われなくなることが挙げられます。一酸化窒素には血液が固まるのを抑える作用があり、この作用によって血流が保たれています。そのため、一酸化窒素の合成や分泌が減ると冠動脈が狭くなりやすい状態となり、症状が起きると考えられています。また、喫煙・飲酒・脂質異常症・ストレスなども冠攣縮性狭心症の原因として挙げられています。

冠攣縮性狭心症の主な症状としては、以下があります。

  • 夜間・早朝など安静時の胸の痛み
  • 胸がしめつけられたり胸の中が焼けついたりする感覚
  • 胸が圧迫される
  • 胸が重苦しい

痛みや違和感は肩や背中、首、頬、歯、後頭部、みぞおちなどに現れることもあり、数分~30分続くこともあります。

■主な予防法と治療

冠攣縮性狭心症を予防するためには主に以下の生活改善を行います。

  • 禁煙をする
  • 飲酒を控える
  • 過労を避ける
  • 精神的なストレスを減らす

また、寒さも冠攣縮性狭心症を引き起こす要因の一つですので、冬の季節は寒さ対策も重要です。さらに、動脈硬化を防ぐために日頃から血圧測定をしたり塩分を控えたりして高血圧対策をすることも大切になります。糖尿病や脂質異常症の方はこれらの症状改善も同時に行う必要があります。

冠攣縮性狭心症と診断された場合は、冠動脈が細く狭くなっていなければ発作の予防として血管を広げる薬を内服することになります。また、発作が起こった場合は「ニトログリセリン」という薬を舌の下に置いて、舌の血管に成分を浸透させることで症状を軽くする処置を行います。

■まとめ

冠攣縮性狭心症は、安静時に冠動脈の痙攣・収縮によって起こる疾患です。朝方や夜間に胸が締め付けられるなどの症状がある場合は、早い段階で最寄りの病院に相談してみましょう。