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健康コラム

高齢者が特に気を付けたい冬の低体温症とは?

低体温症と聞くと、雪山での遭難や冬の海への転落などによって、寒い屋外で起こるイメージが強いかもしれません。しかし実際には、部屋の中にいても低体温症になってしまうことがあるのです。また、低体温症になって凍死した方のうち80%以上は65歳以上の高齢者というデータもあります。冬本番を迎えるこれからの季節、高齢の方は特に低体温症に気を付けたほうがいいでしょう。

今回は、冬の低体温症のサインや原因、低体温症にならないために日頃から実践したい対策を紹介します。

■低体温症のサイン

低体温症とは、深部体温(内臓・脳など体の内部の温度)が35℃以下になった状態のことです。低体温症になると、まず初期症状として体が震えたり、歯がカチカチ鳴ったりします。さらに低体温症が進んでしまうと、次のような症状が起きます。

  • 体の震えが止まる
  • 動きがぎこちなくなる
  • 頭がぼんやりする
  • 判断力が落ちる

低体温症がさらに悪化すると、意識不明の状態に陥って心臓の動きや呼吸がゆっくりとなり、最悪の場合は心臓が止まってしまいます。

■高齢者の低体温症の原因

高齢者が特に低体温症になりやすい理由は、年齢を重ねることによって次のような体の変化が起こるからです。

体温調節機能の低下 汗腺の機能が落ちて汗の量が減り、体温が調整しづらくなる
筋肉の減少 筋肉には熱を生み出す作用があるが、高齢になると筋肉量が減って体内で熱を作りにくくなる
食事量の低下 食欲が落ちて食事の量が減り、食べ物から作り出せる熱量も減る

■低体温症の予防・対策

低体温症を防ぐためには、以下のように衣食住を工夫して、生活全体で寒さ対策を行うことが大切です。

【衣】衣類を着込む

  • ぬれても保温効果があるウールやポリプロピレンなどの服を着る
  • 帽子をかぶる
  • 靴下を履く
  • 手袋やレッグウォーマーを着ける

【食】体を温める食べ物・飲み物を選ぶ

  • 鍋料理やお茶などの温かい食べ物・飲み物を摂取する
  • 卵や納豆などのタンパク質を多く含む食べ物、玉ねぎや大根などの根菜を食べる
  • 白米や玄米などの穀類を食べる

【住】部屋を暖かく保つ

  • エアコンやヒーターなどの暖房器具を使って、室温を常に20℃以上に保つ
  • 窓に断熱シートを貼る

また、体を動かすと体内で作られる熱量が増えるため、定期的な運動も低体温症の予防につながります。

■まとめ

低体温症は、体温が危険なレベルまで下がってしまった状態のことです。冬の間は屋外はもちろん、部屋の中でも低体温症になることがあります。特に高齢者は、体温を調節する機能が落ち、体内で熱を作りにくくなっているため、低体温症にならないための対策を日頃から行うようにしましょう。