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健康コラム

風邪や花粉症と勘違いしやすい老人性鼻漏とは?

鼻水の症状が長く続くと「風邪を引いたかな?」「花粉症になったかな?」と考える方が多いかもしれません。しかし高齢者の場合、鼻水が止まらない背景には風邪や花粉症などではなく「老人性鼻漏」が関係していることもあります。
今回は、老人性鼻漏の特徴や、自宅でできる症状の改善方法を紹介します。

■老人性鼻漏とは

老人性鼻漏(ろうじんせいびろう)とは、60歳以上の高齢者に多く見られる、サラサラとした透明の鼻水が出る病気のことです。老人性鼻漏になる背景には、鼻の粘膜の機能低下が関係しています。鼻の粘膜には、吐く息に含まれる水分を吸収して乾燥を防ぐ働きがあります。しかし高齢になると鼻の粘膜の機能が衰え、うまく吸収できなかった水分が粘膜に集まるため、水っぽい鼻水が出るようになるのです。

鼻水の症状から老人性鼻漏を風邪や花粉症といった他の疾患と勘違いしてしまうケースもありますが、これらの治療薬を飲んでも症状の改善は見込めません。また、薬によっては眼や喉が渇く、眠気を感じるなどの副作用に悩まされることも。鼻水の症状が長引いているからといって「風邪や花粉症だろう」と自己判断で決めつけてはいけません。

■老人性鼻漏の特徴

老人性鼻漏には次のような特徴があります。これらの症状に当てはまる場合、鼻水が出る原因は風邪や花粉症などではなく、老人性鼻漏の可能性が高いと考えられます。

  • 無色透明でサラサラとした鼻水が出る
  • 喉の痛みや鼻詰まり、くしゃみ、発熱がない
  • 数回鼻をかむと症状が落ち着く
  • 季節問わず鼻水が出る
  • 寝起き、朝方に鼻水が多く出る

■老人性鼻漏の改善方法

老人性鼻漏には有効な治療薬がありません。しかし、鼻に入る空気を温めたり全身の血流をよくしたりして鼻の粘膜の温度を上げると、症状の改善が期待できるとされています。自宅でできる対処法としては、次のようなものがあります。

  • 朝・晩に39~40℃程度に温めた生理食塩水で鼻うがいをする
  • 起床後に乾布摩擦やウエイト・トレーニングなどを行う
  • 足湯に入る
  • マスクを着ける
  • 冷え対策として有効な漢方薬を飲む

■まとめ

高齢者は、鼻水が長引いているからといって「風邪や花粉症になったのだろう」と早合点せず、老人性鼻漏の可能性も疑ってみましょう。老人性鼻漏は鼻の粘膜の温度を上げることで症状の改善が見込めます。老人性鼻漏の特徴に当てはまり、風邪や花粉症などの治療・対策をしても症状がなかなか改善しない方は、今回紹介した対処法を試してみましょう。