
「高齢になってからタバコをやめても意味がないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、禁煙は何歳からであっても効果があります。5月31日は世界保健機関(WHO)が定める世界禁煙デーですので、この機会に禁煙を始めてはいかがでしょうか。
今回は、高齢者が禁煙をする効果や喫煙を続ける危険性を解説し、具体的な禁煙方法を紹介します。
高齢者であっても、禁煙による健康状態の改善は十分に見込めます。例えば、50歳で禁煙したとすれば寿命は6年長くなるといわれており、70歳を超えていても禁煙によって死亡や病気のリスクが低下したという調査結果もあります。
禁煙は、長く続ければ続けるほど健康面で次のようにさまざまな効果を得ることができます。
また、禁煙を始めると、同居する家族から「たばこ臭い」と非難されることがなくなったり、たばこ代が浮いて節約につながったりと、健康面以外のメリットも多くあります。
高齢になっても喫煙を続けると、心臓発作や呼吸器感染症、虚血性心疾患、脳梗塞になるリスクが上がってしまいます。また、眼に対しても悪影響を及ぼし、失明の原因となる加齢性の黄斑変性を引き起こすことがあります。ほかにも、喫煙によって骨密度が低下すると骨粗鬆症や骨折につながるリスクもあります。
これらの病気になると、入院や療養が必要になって仕事を続けられなくなったり後遺症で身体が不自由になったりするなど、日常生活に大きな支障をきたすことがあるため、なるべく早く禁煙を始めて、病気を予防することが重要です。
禁煙を始めるためには、まず禁煙の重要性を理解して「自分がどうして禁煙したいのか」という理由を明確にすることが大切です。「禁煙したいとは思うけれど、タバコの危険性がいまいち分からない」という方は、タバコの毒性と引き起こされる病気についてより詳細に解説したこちらのコラムをご覧ください。
禁煙したい理由が明確になったら、禁煙開始日を決めてさっそく禁煙を始めます。仕事のストレスがない休日など、なるべく喫煙本数が少なくて済む日を選ぶとよりスムーズに禁煙を始められるでしょう。
ただし、自分の意思だけで禁煙を続けようとしてもタバコの誘惑に勝てず挫折することもあります。そのため、ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙補助薬を利用したり、病院の禁煙外来を受診して医師からアドバイスをもらったりするなど、必要に応じて外部の力を借りることも大切です。
高齢であっても禁煙を始めれば死亡や病気のリスクを下げることができます。また、タバコをやめると健康面以外にもさまざまなメリットがあるため、なるべく近いうちに禁煙に取り組んでみましょう。当院にも禁煙外来がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。