健康ガイド

健康コラム

透析について (3)人工透析と食事の管理

透析室 透析治療を受ける方にとって、食事の管理はとても重要です。
腎臓のさらなる悪化を抑え、透析時の身体の負担を軽減するため、水分、塩分、たんぱく質などの摂取量を調整することが大切になってきます。
今回は、人工透析を受ける方が気をつけるべき食事のポイントをご紹介します。
※病気や治療の状況によって、食事管理の内容は異なってきます。
 食事管理の具体的な方法については、担当の医師や栄養士にご相談ください。

体内水分を増やし過ぎないための「水分制限」

腎機能が低下していると、体内の水分を尿として十分に排出することができません。そのため、水分を摂取し過ぎると体内に余剰な水分が溜まり、むくみ、体重増加、血圧上昇、呼吸困難などの症状につながります。

【水分制限のポイント(一例)】
・水分量の多い料理(汁物、麺類、鍋物など)を控える。
・透析と透析の間の体重増加量を把握し、食事に入っている水分量を考慮した上で、1日に飲める飲料の量を決めておく。
・毎日体重を測り、水分を過剰に摂取していないかどうかチェックする。

水分制限のための「塩分制限」

塩分を摂取すると、身体は水分を欲しがります。そのため、水分摂取量を制限するためにも塩分の制限が必要です。また、塩分の摂り過ぎは血圧の上昇、むくみ、息切れなどの原因となります。

【塩分制限のポイント(一例)】
・1日の塩分摂取の指示量を担当医や栄養士に聞いて把握しておく。
・汁物を減らす。1日1回にする、半量を1日に2回にするなどして量を抑える。
・食品成分表で食品の塩分量を確認し、食事の記録をとって摂取量を調整する。

たんぱく質摂取量の適正化

たんぱく質を摂り過ぎると血液中の老廃物が多くなり、腎臓の負担が増加してしまいます。一方で、たんぱく質は身体を構成する大切な栄養素でもあります。そのため、良質のたんぱく質を過不足なく摂取することが重要です。

【たんぱく質摂取量適正化のポイント(一例)】
・1日のたんぱく質摂取の指示量を担当医や栄養士に聞いて把握しておく。
・食品成分表で食品のたんぱく質量を確認し、食事の記録をとって摂取量を調整する。
・肉や魚、卵など良質の動物性たんぱく質を摂るようにする。

その他、摂り過ぎに注意すべき成分

カリウム
腎臓の働きが低下すると、カリウムの排泄が不十分になります。体内にカリウムが溜まり過ぎると高カリウム血症になり、重大な不整脈や心停止を引き起こす危険性があります。カリウムは生野菜や果物、豆類、イモ類などに多く含まれています。
リン酸
透析ではリン酸を効率よく除去することができないため、リン酸が血中に蓄積されがちです。血液中のリン酸濃度が高くなると、骨の弱体化、関節や血管の石灰化、心筋梗塞・脳梗塞の危険性増加といった弊害があります。リン酸は牛乳や卵、肉類などに多く含まれています。

以上のように、透析を受けられる方はさまざまな点について食事を管理していくことが肝要になります。
食事制限が必要となる一方で、エネルギーが不足すると身体のたんぱく質が壊されてしまうため、必要なカロリー量をしっかりと摂取することも大切です。

実際に食事制限が必要な場合は、担当の医師や栄養士とよく相談の上で、適正な栄養摂取に努めていきましょう。
当院の血液透析室でもご相談に応じておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。