健康ガイド

健康コラム

ロコモ予防で健康寿命を延ばす

運動器とロコモ

運動器とは、体を自由に動かすために必要な骨や関節、筋肉などのことです。それぞれが連携して働いているため、どれかひとつでも悪くなると体をうまく動かすことができません。
運動器の障害のために、歩く、立つなどの移動能力が低下して、要介護の状態、または要介護になる危険が高い状態になっていることを「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、略称:ロコモ)」といいます。いつまでも自分の足で歩き続けていくために、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが必要です。

「まだ、若いから関係ない」は誤りです

ロコモの予防には、若いうちからの運動習慣が重要です。
骨や筋肉の量のピークは20~30代だということをご存知ですか?
適度な運動による刺激や、適切な栄養の摂取により、骨や筋肉は強く丈夫になります。弱った骨や筋肉では、40~50代で体の衰えを感じやすくなり、60代以降、思うように動けなくなってしまう可能性があります。

7つのロコチェック

こんな症状、思い当たりませんか?

  • □片脚立ちで靴下を履けない
  • □家の中でつまずいたり、すべったりする
  • □階段を上がるのに手すりが必要である
  • □家でのやや重い仕事が困難である ※掃除機かけ、布団の上げ下ろしなど
  • □2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である ※1リットルの牛乳パック2個程度
  • □15分程度続けて歩くことができない
  • □横断歩道を青信号で渡りきれない

以上に該当する場合は転倒率が高くなるので、注意が必要です。

始めよう! ロコモを防ぐ「ロコトレ体操」

毎日の体操で、いつまでも元気な足腰を。ロコトレ体操はたった2つの簡単な運動です。

バランス能力をつけるロコトレ「片脚立ち」

床につかない程度に片脚を上げます。
左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。

【ポイント】
  • ・姿勢をまっすぐにしましょう。
  • ・転倒しないように、必ずつかまるものがある場所で行いましょう。
  • ・支えが必要な人は十分注意して、机に手をついて行います。指をついただけでもできる人は指先をついて行います。
下肢筋力をつけるロコトレ「スクワット」
  • (1) 肩幅より少し広めに足を広げて立ちます。つま先は30度くらい開きます。
  • (2) 膝をつま先より前に出さず、足の人差し指の方向を向くように注意して、お尻を後ろへ引くように体をしずめます。深呼吸するペースで5~6回繰り返します。1日3回行いましょう。
【ポイント】
  • 動作中は息を止めないようにしましょう。
  • 膝に負担がかかり過ぎないようにするため、膝は90度以上曲げないようにします。
  • 太ももの前や後ろの筋肉にしっかり力が入っているか、意識しながらゆっくり行いましょう。
  • 安全のために、ソファーや椅子の前で行いましょう。
  • スクワットができないときは、椅子に腰かけ、机に手をついて腰を浮かす動作を繰り返します。

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<注意!>
  • ※ご高齢の方や、足腰に痛みやしびれのある方は医師に相談してから行ってください。
  • ※運動中に痛みが出た場合はすぐに止めてください。
  • ※転倒しないよう、十分注意して行ってください。

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以上のような運動を毎日継続することで転倒やロコモを予防して、90歳を過ぎても自立し好きなことができるように目指しましょう。

ご不明な点がありましたら、当院リハビリスタッフまでお気軽にお尋ねください。

記事初出:広報誌「コンチェルト」第171号
第173号執筆者:舩渡恒男医師阿部由貴(リハビリテーション室副主任)