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いきいき健康講座要旨 その4

第30回 平成16年6月9日開催
肝機能が心配な方へ
LCクリニック仙台 大内 清昭 先生
主な肝機能検査
@肝臓の細胞が壊れた時に増加する:GPT(ALT)、GOT(AST)、ビリルビン
A胆汁の流れが悪い時に増加する:ビリルビン、GPT、γ−GTP
B肝臓が繊維で硬くなったとき:血小板の減少、コラーゲンやヒアルロン酸の増加
ウィルス性肝臓病の進行経路
ウィルス感染→急性肝炎→慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんへと進行する。現在B型肝炎感染者は日本全国で120〜140万人、C型肝炎感染者は200万人以上、肝硬変患者は30万人存在する。また肝臓がんの発生は年間2万人に達する。
C型肝炎
血液を介して感染するが、輸血や血液製剤の投与を受けた人は40%のみで、多くははっきりした原因が特定されない。現在では覚醒剤や麻薬の注射が問題となっている。C型肝炎は倦怠感、食欲低下、黄疸などの急性肝炎の症状がはっきりせず、約80%は献血、検診や人間ドックなどの機会に診断される。
感染しても治癒するのは20%に過ぎず、残りは10年後に慢性肝炎、20年後に肝硬変、30年後に肝細胞がんへと進む例が多い。肝硬変の75%はC型肝炎ウィルスの感染者である。しかし、感染力は非常に弱く、唾液や汗からうつらないので、なべ物などを一緒につついたり、入浴を一緒にしても大丈夫である。性感染も極めてまれである。治療法はインターフェロンが唯一の方法であるが、無効の場合も少なくない。
B型肝炎
成人の感染の場合はほぼ100%治癒するが、まれに慢性肝炎へ進む。
母から子供に胎盤を通して感染した場合は10%が慢性肝炎に移行する。慢性肝炎になった場合、20〜30%が肝硬変へ進み、その50%が肝細胞がんへと進む。肝硬変のうちB型肝炎によるものは6%である。
脂肪肝
脂肪肝とは中性脂肪が肝臓に蓄積したフォアグラ状態で、肝機能異常者の65%が脂肪肝である。しかし、GOT、GPT、γ−GTPが軽度増加している程度と肝機能異常はひどくないのが普通である。
脂肪肝を起こす三大原因は、@食べ過ぎ、運動不足による肥満、A酒の飲み過ぎ、B糖尿病であるが、極端なダイエットでも起こりうる。 アルコール性の脂肪肝以外は肝硬変や肝臓がんになる事は少ないが、そもそもが生活習慣によるものであるから、動脈硬化による狭心症、心筋梗塞、脳梗塞を起こす危険性が高いので注意が必要である。
脂肪肝を治すには、食事のカロリーを減らす事、動物性脂肪をひかえ、たんぱく質、食物線維、ビタミンを十分にとる事、適度な運動をし、酒をひかえる事などである。
アルコールと肝臓病
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されるが、このアセトアルデヒドはアルコールそのものよりも肝臓への毒性が強い。肝硬変の10%は飲酒が原因である。多量飲酒家とは一日平均してアルコールを約60g(日本酒3合、ビール中ビン3本、ウイスキー・ダブル3杯、焼酎1合、ワイン5杯)以上飲む人で、5年以上続けると脂肪肝になる事が多く、一日120g以上を10年以上続けるとアルコール性肝硬変になりやすい。
週に2日は休肝日をつくり、γ−GTP100単位以下を目標にする。
肝硬変でも初期のうちは禁酒で良くなるが、酒を減量しても肝機能に改善がみられない場合は、ウィルス性肝炎がないかどうかを検査する必要がある。
平成16年6月発行 コンチェルト第56号 より

第31回 平成16年7月20日開催
震災復興支援シンポジウム
地域で取り組むこころとからだの健康づくり
去る平成16年7月20日、矢本町コミュニティーセンターにおいて、
鹿野和男石巻保健所医療監兼保健所長をコーディネーターとして、
4人のシンポジストによる発表と討論が、矢本町の協力のもと行われました。
1. 「宮城県北部地震は住民の健康にどのような影響を及ぼしたか」
羽根田潔(真壁病院院長)
真壁病院を定期的に受診している矢本、鳴瀬、河南の3町の50歳以上の住民を対象として、地震が健康に及ぼした影響を調べた。その結果、高血圧で降圧剤を服用している人の26.4%では、地震前の最高血圧よりも10%以上上昇し、地震前の平均値139mmHgから地震後2週間以内には165mmHgへとなった。糖尿病で薬を服用やインスリンの注射を受けていた人の15.2%で、ヘモグロビンA1cの増加値が0.5%以上となり、地震前の平均値6.9%から地震後3−4ヵ月には8.0%となった。また、地震後2ヵ月以内に発生した出血を伴った胃潰瘍や急性胃炎の発生率は、胃の内視鏡検査を受けた人の13.8%であったが、前年の同じ期間における発生率5.2%の2.7倍であった。
このように、地震により血圧の上昇、糖尿病の悪化、胃出血の増加がみられた。
2. 「失われた役割を紡ぎなおすために −宮城県北部地震の影響に関する質的調査から−」
三砂ちづる(津田塾大学教授)
家屋の全壊被害にあって、矢本町内の仮設住宅あるいは自宅に居住している50歳以上の男性14名、女性24名の計38名を対象とし、地震から約5ヵ月後に、地震後の健康状態についての意識の変化、不安状況、日常生活の問題点、地震後の新しい健康問題などについてインタビュー調査を行った。その結果最も大きく浮き彫りにされた点は、例えば日課になっていた畑作業、庭仕事、ペットの世話、婦人会活動といったひとりひとりが最も大切にしてきた役割や作業が断ち切られた事の“喪失感”である。高齢であればある程に日々の“はり”を無くしたという感が大きいであろう。こうした視点に立ち、単に住居を提供するだけでなく、畑作業ができるように便宜を図ったり、新たにコミュニティ活動が行えるようにするなど、これまでの生活が再現できるようなサポートを行う事が大切であろう。健康問題では眠れない事が最も多く、精神安定剤や睡眠剤の投与を受けたり、アルコールに頼る人も増加している。行政に対する批判も多かった。「話を聞いてもらえなかった」という印象の人や、仮設住宅への入居の条件が住民に公平に周知されていなかったなど情報の公平性に対する不満が多かった。人員も予算も限られた中で、どうすれば被災者ひとりひとりが「気持を受け止めてもらった」と思えるような体制を作るかが大切であろう。
3. 「災害とメンタルヘルス−北部連続地震から−」
白澤英勝(宮城県精神保健福祉センター所長)
精神保健福祉センターは、地震発生後「こころのケアチーム」を編成し、被災住民への広報や相談を行うとともにメンタルヘルスに関する調査を行った。松山町の独居高齢者に
対する地震直後の調査では、物音が怖い、夜が怖い、眠れないと訴えていた人が35−45%いたが、4−6週間後の調査でも依然24−34%にみられた。矢本、鳴瀬、河南、南郷、鹿島台の5町の児童、生徒に対する調査では、地震直後には20−31%が一人が怖い、眠れない、夜が怖い、身体の震え、もの音が怖いという症状を呈していた。ストレス反応の強かった学校での
追跡調査では、地震後7ヵ月が経過しても25−30%の生徒が物音が怖い、一人が
怖い、夜が怖いと訴えており、地震の影響が長期間続いている事が判った。症状の軽減に役立ったことは家族と一緒にいること、友人と話す、家族と話すことなどであった。地震後のこころのケアとして、家族や周辺住民、民生委員、保健師、保育士、ヘルパーなど顔なじみの関係者の支えは大きな役割を果たしており、身近な支えが何よりも大切であった。
4. 「町の保健活動報告から」
斎藤真理(矢本町健康保育課保健師)
地震当日から避難所での巡回診療を開始したが、成人・高齢者では89%が身体症状に関する相談であった。こころの健康相談は成人・高齢者では11%であったが、子供では47%にも達した。地震後1−2週間に行った避難所以外の住民の健康被害調査では、こころの健康に関することが45%、身体的なこと44%、日常生活のことが11%であった。仮設住宅入居者の健康調査では、介護予防に関することが45%、介護保険に関すること21%、母子保健13%、こころの健康13%などであった。これらの事から、
今後の課題として
@災害初動時の、地域や諸機関との関係強化
A「こころの健康づくり」ネットワークをつくる
B災害弱者への支援対策の強化 が挙げられる。
平成16年9月発行 コンチェルト第60号 より
第32回 平成16年9月9日開催
日常の運動と健康について
白百合女子大学教授 石出
信正 先生
厚生労働省で提唱した「健康21」では、成人男性は1日
9,200歩、女性は8,300歩歩くことを薦めている。大体1,000歩で10分、700〜800mの目安となる。但し高齢者では男性6700歩、女性5900歩で十分であり、平均すると男性は1日5,400歩、女性4,600歩くらい歩いているので、あと1,000歩(10分)多く歩けば達成できる目標である。散歩、買い物など積極的に外に出よう。
定期的な運動は身体にどんなに良い影響を与えるか
@心臓血管系と呼吸器系の機能を良くする、A冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の危険因子を減らす(高血圧、肥満、糖尿病や高脂血症の改善)、B死亡率や病気に罹る率を減らす、C不安や抑うつを減らす、D健全感が高まる、E仕事やスポーツの能力を高める、F体の動きが良くなり事故からの回避能力が向上する。
健康な運動とは
筋肉を動かすためには、肺から取り入れた酸素を心臓・血流を介して筋肉に届け、筋肉内のミトコンドリアでエネルギーを作り出さなければならない。逆に筋肉でたまった炭酸ガスを肺まで運んで体外に出している。この過程がうまく連携して、十分な酸素が供給される運動状態が有酸素運動と呼ばれ、健康な運動とされる。酸素の供給よりも炭酸ガスの産生が多い運動が無酸素運動(400m走、重量挙げなど)で健康に悪い。有酸素運動の目安は、「おしゃべり歩き」が出来る程度の運動であり、息が切れて話も出来ない状態は無酸素運動である。
安全な運動のために
運動が健康に良いことは実証されているが、その反面無理な運動が死につながることがある。心筋梗塞の発生は早朝と夕方に多く、これらの時間帯での運動には十分に注意しなければならない。安全な運動のためには、@健康チェックを受ける、A無理はしない(有酸素運動の範囲で行う)、B生活習慣にする(運動を楽しみにする)、C水分の補給を十分にする、Dゆっくり始め、ゆっくり止める(ウォームアップとクールダウン)。
平成16年9月発行 コンチェルト第61号 より

第34回 平成16年11月10日開催
増えている肺がん
〜禁煙と定期検診を!〜
岩手県立中央病院 呼吸器外科部長
半田政志先生
肺がんによる死亡は胃がんを抜いて第一位
肺がんの発生は年々増加しており、胃がんによる死亡者が全国で年間約5万人であるのに対して平成15年には約6万人と、がんによる死亡者数の第一位となった。
肺がんの原因
最大の要因はたばこで、男性の肺がんの68%、女性の18%が喫煙によるものである。たばこを吸わなくても、受動喫煙による肺がんの発生も多い。その他の要因では、仕事の関係でヒ素やアスベストなどに曝された場合、排気ガスや工場の煙による大気汚染、暖房や調理油の吸入など屋内の空気汚染によるものなどが挙げられている。
肺がんを防ぐには
何と言っても禁煙。食事では野菜や果物を食べ、ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンEを十分に摂る。肉よりも魚を。適度な運動をする。
肺がんの型
@中心型(肺門型)の肺がん:肺の根元の部位
に発生するがん。咳や血痰などの症状で
発見される事が多い。
A末梢型(肺野型)の肺がん:肺の末梢に発生するがんで、症状が出にくい。
定期的にレントゲン写真を撮らないと見つかりにくい。
肺がんの治療
根治が期待できる場合に手術療法が行われる。化学療法(抗がん剤)や放射線療法は肺機能が悪くて手術が出来ない場合や、進行癌に対して行われる。早期であれば、手術後5年の生存率は70%以上である。
肺がんの予防と治療には
禁煙と早期診断、早期治療が鍵となる。
平成17年2月発行 コンチェルト第67号 より

第64回 平成19年11月20日開催
大丈夫ですか?あなたの家庭の衛生対策
花王株式会社生活者研究センター 小島みゆき 先生
花王プロフェッショナル・サービス株式会社 学術部長 日置祐一 先生
食中毒の約半数は家庭から起こると言われ、特に小さな子供やお年寄りで発症することが多いですから、日常の家庭内の衛生対策に気を配りましょう。
家庭内の汚染場所:台所が一番汚染されており、次いで浴室。トイレは普段の手入れでかなり除菌できています。玄関はカビの格好の住家です。
台所内の汚染場所:食器用スポンジや排水口のごみ入れが最も汚染されており、台ふきん、調理台、まな板、流し、洗いおけ、食卓テーブルなどの汚染も高度です。
台ふきんは大腸菌群による汚染がひどく、台ふきんを介して
食卓テーブルに汚染が広がります。
まな板は台ふきんよりは汚染の度合いは軽いものの、
大腸菌群の他に一般細菌も多数みられます。
●台ふきんやまな板の除菌法
@天日干し:水洗い後3時間の天日干しは除菌効果あります。
A熱湯消毒:沸騰したお湯を十分にかけることは効果ありますが、給湯器
からのお湯は70℃程度なので除菌には不十分です。
B塩素系漂白剤:台所用洗剤で洗浄した後、塩素系漂白剤
に2分間漬けるだけで十分な除菌ができます。
●台所の衛生を保つポイント
@一日の終わりにはこまめに除菌:調理器具の汚れを台所用洗剤などで
落とした後、塩素系漂白剤に2分程度浸したり沸騰させた熱湯をかけ
ましょう。
A生もの(生の肉や魚介類、卵など)を取り扱った時は
必ず除菌しましょう。
B台ふきん、まな板、スポンジ、食器用ふきん、流し、
調理台、食卓テーブルなどの除菌を心がけましょう。
平成19年12月発行 宮戸クリニックだより 第9号より




第65回 平成20年1月23日開催
「たばこと健康」 −あなたはどちらを選びますかー
石巻赤十字病院 呼吸器科部長 矢内勝 先生
喫煙は全世界の死亡原因の第二位で、毎年世界中で500万人(宮城県の人口の2倍)が
死亡、日本では男9万人、女2万5千人が死亡しています。
タバコの毒性と引き起こされる病気
・ニコチン:@中毒。A血管を収縮させて心筋梗塞、脳卒中、バージャー病(手足の動脈が閉塞して悪化すると切断を要する)を起こします。
・タール:発ガン物質のかたまりで、1日20本のタバコを吸うと1年間でコップ1杯分のタールが肺に入り、一度入ったタールは取り除けません。肺ガンだけでなく、喉頭ガン、咽頭・口腔ガン、食道ガン、膀胱ガン、すい臓ガン、肝臓ガン、胃ガンなどガン全体の60%がタバコが原因です。
・一酸化炭素(CO):酸欠状態になり息切れ、動悸、仕事の能率の低下、ボケの原因となります。スポーツの大敵。
・タバコにより肺胞の壁が壊れて肺気腫を引き起こし、同時に慢性気管支炎を起こします。これらを慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼びますが、重症になると酸素吸入なしでは生きていられなくなります。世界の死因の第3位。
増えている若い女性の喫煙
宮城県の女性の喫煙率は全国一で特に石巻地域の20〜40代の女性の喫煙率は20〜40%と高いです。妊娠中の喫煙は早産、低体重児出産のリスクが高く、生後も成長の遅れ、知能の低下、自閉症、暴力犯罪を起こす割合が増します。
受動喫煙
タバコの先から立ち上がる煙の方が直接吸っている煙よりも有害で、20人に1人は他人のタバコで死にます。夫が20本以上吸うと妻の肺ガン死亡率は1.9倍になり、親の喫煙により乳幼児突然死の割合が5〜9倍になります。
タバコは薬物中毒
喫煙者がタバコを吸う理由としてストレス解消、リラックスできるなどを挙げますが、本当はニコチン中毒によって脳がニコチン無しではいられない状態になって吸うのであり、タバコが作ったストレスを一時的に紛らわせているだけで、決して気持をリラックスさせるものではありません。
禁煙をするには
禁煙できるかどうかは本人の意志の力にもよりますが、遺伝的要素もあり、なかなかできないのが現実です。しかし禁煙補助剤があります。ニコチンガムは薬局で販売していますし、ニコチンパッチは保険適用となっています。経口禁煙治療薬も本年5月より発売されますので是非試して下さい。
*タバコは「百害あって一利なし」で何歳で止めても効果があります。
吸わないのが当たり前で吸うと損する時代です。
平成20年4月発行 コンチェルト第106号 より
